令和6年(2024年)能登半島地震救援ニュースNo.141
令和6年能登半島地震の被災地では、半壊以上の家屋が公費解体の対象となり、応急修理とは併用できない制度のもとで解体が急速に進められてきました。県からは「10月末までに90%以上が解体完了」という発表があり、県のHPでも公費解体の「加速化プラン」という言葉が使われています。迅速な復旧を目指す行政の姿勢は理解できますが、被災家屋が解体され更地が増える現状は、復興のスピード感を演出する一方で、複雑な思いを抱かせます。被災家屋が解体されることで景色が変わり、復興を感じるかもしれませんが、一部の再建をした家屋を除き、現状はただ更地が増えている状況です。
解体の日程は状況に応じて伸ばせるものの、公費解体の申請期間はほとんどの自治体で終了しました。報道や周囲の動きに「早く決めなければ」と焦り、十分な検討期間を持てずに解体を選択した方も多いのではないかと感じています。家屋が解体されるということは、住む場所を失うだけでなく、家財の置き場もなくなるということです。仮設住宅などに移り住む際、思い出の品などは持ち出せても、サイズの大きな家財(仏壇や大型家具など)は置き場がないため、手放さざるを得ないという方も多くいらっしゃいます。長年住み続けた家そのものと、生活を共にした大切な家財一切を手放さざるを得ない悲しい出来事でもあります。現場では「解体しなきゃよかった」という後悔の声や、私たち自身も長年住み慣れた家が壊されるのを目の当たりにして「これで本当に壊してしまうんだ」と寂しさを感じることがあります。被災状況や生活再建への意向は多様です。公費解体という不可逆的な選択について、住民さんが数年かけて修理か解体かを熟慮する期間があっても良いのではないでしょうか。また、多額の費用がかかる解体に公的資金を出す一方で、「応急修理」だけでない、修理にも公的な資金を出し、「住み慣れた家・地域で生活を続けたい」という人々の声に応える手立てはなかったのか、と考えさせられます。
輪島市門前町にあるアイザックアワジ能登出張所では、この問いに対する一つの具体的な活動が行われているようです。この方たちは、「解体は最後の最後!!」と大きく書かれた看板を掲げ、阪神・淡路大震災以来の経験と独自の傾きを戻す技術を活かし、建物の修理・修繕に取り組んでいます。私たちは、公費解体の迅速な推進の裏側で取り残されがちな「住み続ける」という選択肢にも光を当て、真に一人ひとりの意向を反映した地域再生が実現するよう、活動を続けていきたいと考えています。
(学生スタッフ 南太賀)
*私たちの活動は、日本財団、共同募金、住友ゴムから助成を頂き活動しています。






