令和6年(2024年)能登半島地震救援ニュースNo.143
いま、当センターの能登事務所では、毎週水曜日と土曜日にオープンデイとしてサロン活動を行っています。その中で、奥能登豪雨水害で被災された蒔絵士さんにご協力頂き、壊れたお皿や陶器を復活させようと金継体験を行いました。大量消費、大量生産の時代に買えばすぐ手に入る中で、割れたりかけたりしたお皿などを捨ててしまうのではなく、次世代につながる大切な手仕事です。手間暇かければ長年使えます。いつか住民さんが、輪島塗のことを「これは道具だから使わないとダメなんだ」と教えてくれました。その人は毎日輪島塗の御膳で食事をしているそうです。いまや輪島塗は芸術品のようになり庶民の手から離れていますが、日本の伝統工芸としてもっと身近に触れてもらいたいものです。
そして、いつも一緒に活動をさせてもらっている認定NPO法人CFFジャパンのつながりで東日本大震災で被災した宮城県石巻市にある蛤浜に住む亀山ご夫婦から津波後の再建の話を伺う機会を頂きました。その中で自分たちが大切にしたいこととして「人のつながり、暮らしの文化、生産者の思い、自然と共生する、手間暇かけて丁寧にする、創る・生み出す、ワクワクすることをやる」というものを大切にされているそうです。亀山ご夫妻たった3世帯7人の集落で人と自然の関係性を繋ぎ直し豊かな未来を共創する場づくりをしています。
その中で民俗学者の結城登美雄先生の言葉を紹介してくれました。「経済的発展を最大の目標にしてきた企業社会が行き詰りをみせ、これからの人間社会と生活はどうなっていくのか。(略)一番たずねたいのは、自然厳しいこの土地を真剣に生きてきた人々の思いである。(略)『生きることは、食べることである。身近に山野河海の四季の食べ物がある石巻のありがたさ。よい自然と多彩な食材があるこの地の良さに感動する。たとえお金は少なくても安心しておだやかに生きられる』と、この地の先人たちは答えるだろう」と、私たちが命を頂いている自然に耳を傾けていかなければならないのでしょう。
災害があるたびに地方の集落は人口流出が進み、まちが衰退していき、高齢化・少子化で担い手がいなくなり、自然が悲鳴をあげています。海の産物もここ10年で減少し、牡蠣が獲れないというニュースはみなんさんもご存じの通りです。また山が荒れ、熊は各地で出没し、田畑、里山、山林も崩壊しかけています。災害でその日常の問題も加速化します。能登も言わずもがな状況は同じです。
思い起こせば30年前の阪神・淡路大震災の時にも、20年先の将来の縮図が神戸にあると言われましたが、しっかりとして手だてが打てないまま、頻発する災害で「教訓を生かす」という言葉だけが独り歩きしているような気がしてなりません。能登の海を眺めながら「この海の景色を見ながら生きていきたい」と呟いた住民さんの言葉が忘れられません。
自然も文化も生活習慣も大切にしながら、くらしの再建が進んでいけたら思います。
(増島智子)
*私たちの活動は、日本財団、共同募金、住友ゴムから助成を頂き活動しています。


